
横浜農業協同組合
- 導入システム
- eValueシリーズ / Microsoft SharePoint Server 2010 / Microsoft Exchange Server 2010
- 業種
- 農業協同組合
- 従業員数
- 1,424名(2011年9月末現在)
- 事業内容
- 農家の営農と生活を守り、組合員や地域の人々の暮らしを支援していくことを目的に、金融(JAバンク)、共済(JA共済)、経済、営農・生活・相談事業などを遂行。広報活動や食育などの取り組みにも注力
Microsoft プラットフォームとOSKのグループウェアパッケージを組み合わせ特有の業務規程に最適な情報系システムを構築
横浜農業協同組合は、都市農業の先進地・横浜市で、農業を営む人々をサポートしている。幅広い事業を手掛ける同組合では、既存情報系システムのレスポンスの遅さや検索機能の脆弱さが情報の共有化や業務効率化の妨げとなっていた。そこでサーバ機器の更新に合わせ、システムの再構築を決断。マイクロソフトとOSKのグループウェアを組み合わせた新システムを2011年5月に稼働させ、電子化による円滑な業務を実現した。
横浜農業協同組合:https://ja-yokohama.or.jp/
導入の狙い
- 文書検索機能が脆弱な現行システムの改善
- グループウェアで情報の共有化を図る
- 電子申請による社内手続きの効率化とペーパーレス化
- 人事異動時のシステムメンテナンス作業の軽減
導入効果
- 社内文書・資料の検索が快適に
- 独特な業務規程に対応した電子申請フローを実現
- 各種業務情報を全職員で共有化
都市農業の先進地を幅広い事業で支える
人口369万人を有する大都市・横浜。洗練された港町のイメージが強いが、実は農業の保全と振興に力を入れる「都市農業の町」でもある。
市域の緑の減少に歯止めをかけ、緑豊かなまち横浜を次世代に継承することを目的として、樹林地と農地を守り、緑をつくる「横浜みどりアップ計画」を推進するなど、国内でも類のない農地と住宅地が混在した都市であり、農業と調和した都市環境づくりに尽力している。
横浜農業協同組合(以下、JA横浜)は、2003年4月1日に市内の五つの農協が合併して発足した。
役職員数は1,424名(2011年9月末現在)で、貯金額は全国2位、貸出金額は全国1位という大規模な農協である。また、市内全小学校に給食野菜を提供したり、農業まつりを展開したりするなど、地域との共生を大切にしている。
そんなJA横浜も、「農業従事者の高齢化」「後継者不足」「耕作放棄地の拡大」とは無縁ではない。そこで2011年度から「JA横浜アグリサポート事業」をスタート。これらの問題に対して、最適な対応策を提案し、経営を直接サポートすることで、組合員の営農と生産を支援している。
レスポンスが遅いうえ 文書の検索機能も脆弱
市内の農業の活力を高めるため、さまざまな事業を展開しているJA横浜にとって重要なのは、組織内における「情報の共有化」である。また、多岐にわたる事業をスムーズに進めるためには、稟議書などの文書を電子化して回覧する「業務の効率化」も必要だ。
ところが、それを支えるべき情報系システムに大きな課題を抱えていた。
「ある大手電機メーカーが開発したグループウェアを5年以上前から使っていましたが、レスポンスが鈍くて困っていました。読みたい文書がすぐに開けないし、必要としている資料も見つからない。本店に設置されたサーバとネットワークでつながる店舗ではさらにレスポンスが悪く、クレームが来ることもしばしばでした」と経営企画部 システム課の次長を務める中山 淳氏は振り返る。
またドキュメント類はタイトルでしか検索できず、その検索機能の脆弱さは業務の大きな支障となっていた。
さらにシステムはActive Directoryと連携されておらず、人事異動の際には逐一手作業によるメンテナンスが必要という課題も抱えていた。そのため膨大な作業が発生する毎年の人事異動時期には、その業務を外部に委託し対応してきたという。
加えて、エンドユーザニーズの多様化と、老朽化による性能不足解消に対応するため、JA横浜はサーバの機器更新と情報系システムの見直しを決定した。

経営企画部 システム課
次長 中山 淳氏
優良事例を職員で共有 電子決裁で業務効率化
新情報システムは、『Microsoft SharePoint Server 2010(以下、SharePoint)』と『Microsoft Exchange Server 2010(以下、Exchange)』に統合型グループウェア『eValue NS』を組み合わせるというものだった。
懸案だった文書検索機能は、Webブラウザをベースとしてドキュメント管理ができる『SharePoint』によって、インターネット検索と同じ簡易な操作性を実現した。
また、掲示板機能は顧客満足度向上のために、組織内の優良事例を全職員で共有することに用いている。
『Exchange』は主にメール機能を担う。以前のシステムは独特なメーラーだったが、新システムではそれが『Outlook』になったことで格段に使いやすくなったという。

経営企画部 システム課
係長 渡辺 正史氏

新システムの画面イメージ。
上からグループウェア、
ワークフローの各機能
情報系システムを拡張し 業務体制をいっそう強化
さらに、稟議書の申請・決裁方法などJA横浜独自の業務規程に柔軟に対応するため、『eValue NS』もカスタマイズして導入した。
「案件によっては、決裁者がさらに上層部に報告する場合もあります。その点『eValue NS』は拡張性が高いので、私たちの組織のやり方に合わせることができました」と中山氏。『eValue NS』のワークフロー機能をカスタマイズすることで、独特な運用手順に対応した電子申請が可能となった。経営企画部 システム課の係長 渡辺 正史氏は「稟議が格段に速くなりました。今後は、稟議書以外の電子申請にも取り組むので、業務はさらに効率化できそうです」と語る。
また、人事異動時に発生していた膨大なメンテナンス作業は『eValue NS』のユーザー保守ツールを用いることで大幅に軽減した。
「以前はActive Directoryと各アプリケーションが連携していなかったため、人事異動のたびにシステムメンテナンスが必要でした。4月は300~400人が異動します。1人が3、4アプリケーションを使用しているため、3、4倍の工数が必要でした。しかし、今はActive Directoryの情報を更新したあとにユーザー保守ツールを実行するだけで自動的にそれが反映されるようになっています」と中山氏は胸を張る。労力の軽減、そして外注していたメンテナンス費用も削減できた。
スケジューラ機能については、職員のスケジュール管理および閲覧に使っているほか、「施設予約システム」としても利用している。これは本店会議室の予約状況を、1階正面入り口のデジタルサイネージに表示するもので、表示する必要のない職員同士の会議はチェックを外せば掲載されない仕組みになっている。
使い勝手の悪いグループウェアを刷新し、すべてを構築し直したJA横浜。以前のシステムに比べると格段に向上した使い勝手の良さゆえか、新システムに対する職員からの苦情は一切なく、新しいグループウェアを使いこなそうと皆真剣に取り組んでいるという。
情報系システムの全面的見直しによって実現した円滑な業務体制は、都市農業の振興に力を尽くすJA横浜を力強く支えていくに違いない。

事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。
この記載内容は2012年12月現在のものです。