
※本ページ記載の内容は、2022年7月時点での情報です。
改正育児休業制度
2022年4月1日より、改正「育児・介護休業法」の一部が施行されました。段階的に5つの内容が変わっていく今回の改正は、男性の育児参加がひとつの軸となっています。
男性の育児休業取得は、女性の就業継続や出生率上昇、ひいては誰もが活躍できる社会を実現するための重要なポイントと考えられています。男性の育児参加への意識が高まるなか、多くの従業員にとって注目度の高い施策となります。
改正育児休業制度のポイント
2022年4月から、2023年4月1日まで段階的に5つの内容が施行されます。
1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認措置の義務化 令和4年4月1日施行
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業と産後パパ育休(出生時育児休業)の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
※
複数の措置を講じることが望ましいとされています。
- 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
- 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
- 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
- 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
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取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
周知事項 |
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個別周知・意向確認の方法 |
※ 1.はオンライン面談も可能。3.4.は労働者が希望した場合のみ。 |
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雇用環境整備、個別周知・意向確認とも、産後パパ育休については、令和4年10月1日から対象です。
2.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和 令和4年4月1日施行
就業規則等の見直し
育児休業取得のための要件が緩和されるため、事業主は就業規則等を見直し、従業員にその内容を周知させる必要があります。

3. 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設 令和4年10月1日施行
4. 育児休業の分割取得 令和4年10月1日施行
育児休業制度の改正(男性の育休取得の促進を目的とした改正)
産後パパ育休(R4.10.1~) 育休とは別に取得可能 | 育児休業制度(R4.10.1~) | 育児休業制度(現行) | |
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対象期間・ 取得可能日数 |
子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 | 原則子が1歳(最長2歳)まで | 原則子が1歳(最長2歳)まで |
申出期間 | 原則休業の2週間前まで | 原則1か月前まで | 原則1か月前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能(初めにまとめて申し出ることが必要) | 分割して2回取得可能(取得の際にそれぞれ申出) | 原則分割不可 |
休業中の就業 | 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能 | 原則就業不可 | 原則就業不可 |
1歳以降の延長 | - | 育休開始日を柔軟化 | 育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定 |
1歳以降の再取得 | - | 特別な事情がある場合に限り再取得可能 | 再取得不可 |
産後パパ育休では、休業中に就業が可能です。
就業可能日等には以下のような上限があるため、労働者が申し出た範囲内でどの程度就業するかを、あらかじめ決めておく必要があります。
- 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
- 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満
①「産後パパ育休」の新規創設
- 通常の育児休業とは別の制度のため、通常の育児休業とは別で取得可能。
- 修正後8週間以内に4週間まで取得可能。分割して2回取得もできる。
- 労使協定を締結し、労働者合意があれば、休業中に就業が可能。 ※ ママの産休期間にパパが育休取得
② 育児休業制度の変更
<1歳児までの育児休業>
- 分割して2回取得が可能。
<1歳以後に延長した場合の育児休業>
- 育休開始日の柔軟化で、夫婦交代で取得可能。
- 特別な事情がある場合、育休の再取得が可能。

また、上記改正に伴い、「修正後8週間以内にパパが育児休業を取得した場合、2回目の育児休業を取得できる制度(パパ休暇)」が廃止されます。
改正後の働き方・休み方のイメージ(例)

5.育児休業取得状況公表の義務化 令和5年4月1日施行
従業員数1,000人超えの企業は、育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられます。
公表内容 | 男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率 |
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算定期間 | 公表を行う日の属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度 例)事業年度(会計年度)が2023年1月1日~2023年12月31日の場合: 2022年1月1日~2022年12月31日における育児休業等の取得状況を公表 |
公表方法 | インターネット等、一般の方が閲覧できる方法(自社ホームページなど) |
SMILE V2 / V Air 給与での対応
従業員が育休を取得する際、給付金の申請手続きや、保険料の変更手続きなどは、企業の給与担当者が行います。育休取得の促進によって、給与担当者に負荷がかからないよう、システムを導入し業務の効率化を図ることが必要です。
給与担当者の負担削減
社会保険料免除の要件変更
現行 | 改定後 | |
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給与 | 月末日に育休中 | 月末日に育休中もしくは、同月内で育休取得(開始・終了)し、その日数が「14日」以上 |
賞与 | 月末日に育休中 | 月末日に育休中かつ、連続して「1か月」超の育休取得 |
※
改定後の「育休中」は産後パパ育休も対象となりますが、産後パパ育休の場合、最長4週間で賞与の要件を満たすことができないため、注意が必要です。
今回の法改正で、社会保険料免除の要件が改定されます。SMILE V2 / V Air 給与では変更された要件をシステム上で設定することで、対象者を一覧で確認できます。
各種帳票の出力と申請
SMILE V2 / V Air 給与では、育児休業給付金の申請に必要な「休業開始時賃金月額証明書」の出力や、産休育休月変を行うための「育児休業等終了時報酬月額届」「産前産後休業終了時報酬月額届」を基にしたイメージファイルの出力が可能です。
また、産休・育休に関する手続きを