
※本ページ記載の内容は、2023年1月時点での情報です。
電子取引データの保存制度とは
電子帳簿保存法では、電磁的方式によりやり取りする取引(電子取引)を行った場合には、その取引情報を一定期間、電子データ(電磁的記録)で保存することが義務付けられています。
取引情報とは、取引に関してやり取りする注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項のことをいいます。

取引先に電子データで交付する注文書や請求書は、電子取引データの保存に該当します。
取引先に紙で交付する場合、自社で一貫して電子計算機で作成した注文書や請求書の控えを電子データで保存する場合は国税関係書類のデータ保存、紙の控えをスキャンして電子保存する場合は、国税関係書類のスキャナ保存となります。
電子取引の範囲
EDI取引、インターネット等による取引、ペーパーレスFAXによる取引、電子メールにより受領する取引など、紙の介在しない電子的な取引であれば、通信手段を問わずすべてが対象となります。
電子取引例

EDIを利用してやり取りする見積書や請求書等は電子取引データとなります。

QRコード決済などを利用した場合の領収書等は電子取引データとなります。

インターネット上のWebサイトやWeb配信システムからダウンロードした見積書や請求書等は電子取引データとなります。

メールに添付された請求書等のPDFまたは本文に取引情報が記載されているメール自体が電子取引データとなります。
2022年1月改正のポイント
令和3年度税制改正大綱により、電子帳簿保存法は大幅に要件が緩和されました。
その一方で、電子取引データに関しては、代替措置による紙での保存が廃止されるため、今、改めて注目されています。
以下が主な改正ポイントです。
要件など | 改正内容 |
---|---|
紙による保存 | 紙による保存は不可※1 |
タイムスタンプ付与 | 受領後速やかに、または業務サイクル同様に最長2カ月+7営業日以内※2に付与 |
検索要件 |
|
その他 | 隠蔽、仮想された事実などによる申告漏れ等の場合は、重加算税の10%が追加徴収 |
※1
2021年12月10日公表の『令和4年度税制改正大綱』に、所轄の税務署長がやむをえない事情があると認め、かつ税務調査時に出力書面による提示等が行える場合は、2023年(令和5年)12月31日までは、保存要件を満たしていない状態での電子データの保存、または書面での保存を認める経過措置が盛り込まれました。
※2
受領からタイムスタンプを付与するまでの各事務の処理に関する規程を定める必要があります。
※3
税務職員の質問検査権に基づくデータのダウンロードの求めに応じることとすれば検索要件は「不要」となります。
電子取引データ保存をおこなうには
電子取引データは、要件を満たした状態で保存しなければなりません。
2022年1月1日以降は、電子データを印刷して紙で保存するという代替措置が認められなくなったため、電子データで保存をする必要があります。
2021年12月10日公表の『令和4年度税制改正大綱』に、一定の条件のもと、2023年(令和5年)12月31日までは紙保存も認める経過措置が盛り込まれました。
電子取引データの保存要件
電子取引データを電磁的に保存する場合、以下の要件を満たす必要があります。
項目 | 要件 | |
---|---|---|
保存要件 | 関係書類の備付 | システムの仕様書、マニュアルなどが用意されていること |
見読性の確保 | 電子取引データをディスプレイやプリンタなどを使って整然とした形式で明瞭な状態で速やかに出力できること | |
検索機能の確保 | 取引年月日、取引金額、取引先による検索ができること | |
保存措置 | 以下の1~4のいずれかの措置を行うこと
|
※
タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する技術のことです。
電子取引に関しては、国税庁の下記の情報をご参照ください。
電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】
保存措置の選択
データの受領の仕方に応じて管理方法を変える必要があるため、専門家によるコンサルティングを受け、自社に合った管理方法を選択することをおすすめします。
SKJ総合税理士事務所 袖山喜久造氏監修! OSK提供の証憑電子化保存 社内規程サンプル
「国税関係書類のスキャナ保存」「電子取引データ保存」を行う際、適正なデータ保存を行うために必要な社内規程のサンプルをご用意しています。
企業規模や業態、電子化する取引関係書類(電子取引データを含む)の種類に応じ、必要に合わせて記載内容の検討・修正を行えば社内規程の作成ができます。検討する必要のある箇所やeValueならではの運用部分は赤字で記載されているので、どの部分を修正すべきかがひと目でわかります。
※
eValue V 2nd Edition またはeValue V Airの導入・保守加入が必要です。
JIIMA「電子取引ソフト法的要件認証」制度
電子取引ソフト法的要件認証制度とは、電子取引データの保存を行う市販ソフトウェアおよびソフトウェアサービスが、改正電子帳簿保存法第7条の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満足していると判断したものを認証するものです。
本認証を受けたソフトウェアを利用することで、電子取引データの保存を安心して行えます。

※この認証ロゴは公益社団法人日本文書情報マネジメント協会によりライセンスされています。
JIIMAの「電子取引ソフト法的要件認証」を取得したシステムのリストが、JIIMAホームページに掲載されています。
https://www.jiima.or.jp/certification/denshitorihiki/list/
OSKの『eValue V 2nd Edition』『eValue V Air』は、電子取引データ保存を行うソフトウェアの法的要件を満たしたソフトウェアとして、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)より認証を受けています。
2024年1月改正の概要
令和5年度 税制改正大綱により、2024年1月1日以降、以下のように変更される予定です。
- 下記の場合において、税務調査等の際にデータのダウンロードに応じることが出来る場合には、検索要件が不要となります。
- 判定期間における売上高が5,000万円以下
- 電子データの出力書面の提示または提出の求めに応じる
- 電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件が廃止されます。
- 書面保存に関する宥恕期間は2023年12月をもって廃止となりますが、電子保存対応が出来ないことに相当の理由があり、下記をすべて満たした場合は、保存要件を満たさなくとも電子データでの保存が可能となります。
- 税務署長がやむを得ない事情があると認める
- 税務調査等の際に整然かつ明瞭な状態で出力された書面の提示が可能
- データのダウンロードの求めにも応じることが出来る