※本ページは2021年9月時点のものです。
令和3年(2021年)の年末調整は、電子化の事前申告の廃止や住宅ローン控除申告書が電子化されるなど、電子化を促進する改正が行われます。
改正内容をチェックして、今年の年末調整に備えましょう。
廃止事項
事前申請の廃止
従来、年末調整を電子化するためには、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請」を行い、所轄税務署長の承認を得る必要がありました。
2021年4月1日以後に提出する下記の書類について、一定の要件のもと届出および税務署長による承認が不要となります。
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 従たる給与についての扶養控除等申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
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電子化するための要件については、年末調整の電子化で業務負担を軽減!をご参照ください。
押印の廃止
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書など、税務署長等に提出する源泉所得税関係書類について、押印が不要となりました。
令和3年分の申告書では押印欄が削除されています。

出典:国税庁ホームページ掲載PDFを加工して作成
住宅ローン控除について
控除を受ける1年目は従業員本人が確定申告をする必要がありますが、2年目以降は年末調整での対応が可能となるため、従業員に「住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書)」を提出してもらう必要があります。
電子データでの提出に対応
2021年以降は、住宅ローン控除申告書も電子データでの提出が可能となりました。
昨年開始した、保険会社等の控除証明書の電子化に引き続き、ますます業務の効率化が期待されます。
特例の延長
消費税率の引き上げや新型コロナウイルス感染症対策による特別措置の「控除期間13年の特例」について、期間が延長されます。
適用対象は、以下の契約期限および入居期限を満たす場合です。
- 契約期限
- 注文住宅:2020年10月~2021年9月末
- 分譲住宅など:2020年12月~2021年11月末
- 入居期限
- 2021年1月1日~2022年12月31日
また、延長した期間は、合計所得金額が1,000万円以下の場合に面積要件が緩和され、床面積が40m2以上50m2未満である住宅も対象となります。
退職所得課税の見直し
退職所得の金額は、退職手当等の収入金額から、勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の1/2に相当する金額とされています。
今回の改正により、下記のとおり変更となりました。2022年1月1日以降に支払う退職手当等から適用されるため、2022年以降の年末調整時に影響します。
短期退職手当等に係る退職所得の金額については、下記の区分に応じて定められた金額とされました。
- ① 短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が300万円以下である場合、その残額の1/2に相当する金額
- ② ①以外の場合、150万円とその短期退職手当等の収入金額から300万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額
① 収入金額 - 退職所得控除額 ≦ 300万円 |
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(収入金額 - 退職所得控除額)×1/2 = 退職所得の金額 |
② 収入金額 - 退職所得控除額 > 300万円 |
150万円※1 +{収入金額 - (300万円 + 退職所得控除額)}※2 = 退職所得の金額
※1 300万円以下の部分の退職所得の金額 ※2 300万円を超える部分の退職所得の金額 |